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オヒョウニレの皮剥ぎ

ナショナルトラスト・チコロナイの催しの、オヒョウニレの皮剥ぎに参加してきました。
ナショナルトラスト・チコロナイは、定款に「アイヌ文化を学ぶこと」が法人の目的の一つとして明記されています。アイヌ民族は、伝統的に、オヒョウニレの皮から繊維を取って、糸を紡いで、さまざまに利用してきました。それを実際にやって、学ぼうという企画です。

二風谷にあるナショナルトラスト・チコロナイの森のオヒョウニレは、まだ育っていないので、富良野にある東京大学の演習林の許可を得て、代金を払って、切らせてもらいました。
作業をはじめる前に、みんなでカムイノミをします。貝澤理事長が、日本語でカムイに語りかけます。
まず、自分たちの都合で木を切ることを告げて、カムイに許してもらいます。また、作業中、森が騒がしくなることを、わびます。そして、無事に作業が終わるようにお願いします。

さあ、作業がはじまりました。

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木の地面に近い部分の皮に、なたで浅く切り込みを入れて、そこをとっかかりにして、下から上へ樹皮を引っ張って剥がします。面白いように、上のほうまでつながって、剥がすことができます。5・6月ごろは、剥がしやすい季節なのだそうです。
繊維を取るのは、木の内皮、根から吸った水を葉へ届ける通路になっている部分です。一番外側の堅い皮は、剥がして捨てます。
あまり成長しきっていない、若めの木のほうが、質のいい繊維が取れるそうです。1本で取れる量は少なくなりますが。
皮をはがされた木は、もちろん、枯れて死んでしまいます。

森の中には、蚊がいっぱいいたので、堅い外皮を剥がしている間、草を焚いて、煙を出して、その蚊たちを追いやりました。けっこう、効果があるものです。

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この日は、取ったオヒョウニレの内皮を持って、二風谷に戻りました。
翌日、この内皮を、重曹を入れたお湯でゆでて、あくを取りました。釜と、半割りのドラム缶の、2カ所でゆでていきます。燃料は、薪を利用しています。

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ほどよくあくが抜けたら、小川で水にさらして、手で擦って、表面のごみを洗い流します。

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わたしは、木1本ぶんの内皮を受け取って、糸に紡ぐことにしました。

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自宅に戻り、濡れた内皮を「洗濯ネット」に入れて、ソメラの高速脱水機で脱水して、軒下の物干し竿に干しました。脱水機を使ったのは、わたしの判断に拠っています。繊維が切れたり、からまったりすることもなく、速く乾いたので、よかったのではないかと思っています。
写真の内皮の乾いたものを、少しずつ水につけて戻して、やわらかくして、さらに薄い皮に剥がして、また、細く裂いて、2本ずつ、捩りを加えながら撚って、糸に紡いでいきます。

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村のお婆さんの、手づくりの、長年使い込んだ「織り機」を見せてもらいました。
糸ができあがったら、今度は、こういう、「織るための道具」も自作することになります。
ものを入れて運ぶための袋をつくろうか、衣服をつくろうか、何をつくるか、まだはっきりとは決めていません。
材料を取るところから、紡いで織るところまで全部自分でやるというのは、もちろん、初めての経験になります。完成までに時間はかかるでしょうが、できあがったところを想像すると、とても大きな達成感があるのではないでしょうか。どきどきしますね。

それにしても、大量生産された衣服が安く買える時代に、自分たちが使うもののために、身近にある素材を使って、糸を撚るところからコツコツ作業をする文化が廃れずに残っているというのは、すごいことだと思います。

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コメント

オヒョウニレの内皮を剥いだ残りの木材(丸太)の部分はどのように利用されたのでしょうか。
私はオヒョウニレのその丸太の部分が少し欲しいのですが・・・。

投稿: 幕田一義 | 2013年5月 2日 11時56分

お答えが遅くなりました。オヒョウニレの丸太の部分は……よく覚えてないですが、東京大学の演習林のほうで木材として利用したのではないでしょうか。細いところなどは、現場に放置されたと思います。樹皮以外は持って帰ってはいないと思います。

投稿: 田中敬三 | 2013年5月30日 22時06分

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